大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)415 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人代理人神谷安民の上告理由第一点について。

原判決は、上告人は所論借地権の譲受について被上告人の承諾を得ていない事実

を認定しているのであるから、これによれば、上告人は本件宅地を占拠するにつき

被上告人に対抗し得る権原を有しないこと明白であり、被上告人とDとの間の所論

賃貸借の内容如何のごときは原判決の主文に影響を及ぼさない。原判決の認定事実

は挙示の証拠により充分これを認めることができるのであつて、更にこれを認めた

所論特段の理由の如きはこれを判示する必要を見ない。原判決には所論の違法はな

い。その余の論旨は事実認定の非難に過ぎず、採ることができない。

同第二点について。

上告人は原審において自己の占有が正権原に基くことを主張したが所論賃料損害

金を供託した事実は抗弁として主張しなかつたのである。そして原審は上告人が昭

和二三年二月頃以来被上告人に対抗し得る権原なくして本件宅地を占拠しているこ

とを認定した上被上告人の請求の範囲内においてその請求を認容したのであるから、

原判決には所論の違法なく論旨は理由がない。

同第三点について。

原審の認定した事実関係の下では被上告人の請求を権利の濫用ということはでき

ない。なお原審は本件賃料相当の損害金は少くとも一ヶ月五〇円であると認定して

いる趣旨であつて何等所論の如き前後矛盾する認定をしたものでないことは判文上

明白である。原判決には所論の違法なく論旨は理由がない。

同第四点について。

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原審は、所論借地権譲渡につき被上告人の承諾があつた事実を証拠上認められな

いと判示したのである。そして控訴審の認定が第一審のそれと異る場合においても、

所論のように特にこれが変更の理由を説示することを必要とするものではない。原

判決には所論の違法はない。その余の論旨は原審の適法にした証拠の取捨、事実認

定を非難するに帰し採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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